※新建ハウジングより抜粋
大和ハウス工業、積水化学工業、旭化成3社の、2021年度第一四半期の決算短信が発表された。
各社ともに新型コロナやウッドショックによる部材高騰などの影響を受けたとしつつも、前期比での最終利益は増益としている。
新型コロナが多方面で猛威をふるう中、住宅事業においては営業活動の自粛や住宅展示場の閉鎖、建築現場での工期遅延などを引き起こした。
輸入木材の調達にも影響を及ぼし、ウッドショックの引き金ともなっている。
このような背景を持ちつつも市況感の回復が後押しとなり、各社とも業績の回復へとつながる格好となった。
各社とも住宅事業だけではなく他のセグメントも堅調に推移、2Q以降も目標値達成を見込む。
各社決算内容の詳細は次の通り。
▼大和ハウス工業
8月10日発表した2021年3月期第1四半期の決算短信によると、最終利益が468億円(前の期は329億円)と42.1%の増益となった。
売上高は前の期比で3.1%増の9206億円、営業利益は4.9%減の584億円となった。
新型コロナによる人件費など一時的な特別損失を計上したことが営業利益に響いた。
同社事業は、住宅をはじめ、商業・物流施設、スポーツクラブ、ホームセンターなど多角化展開をおこなっていることから、新型コロナの影響を全面に受ける事業構成となっている。
ニューノーマル対応の住宅提案の強化や、税務対策を必要とする土地保有者や投資家などからの需要により受注が堅調だったことに起因し、売上高・最終利益は増収・増益を記録。戸建て住宅事業・賃貸住宅事業が大きく伸長した。
海外の戸建住宅事業においてもウッドショックなどの資材高騰や労働者不足の影響を受けつつも、週次での販売価格改定により影響を抑えられるよう攻勢をかけている。
▼積水化学工業
7月29日に発表した2021年3月期第1四半期の決算短信によると、最終利益は125億円(前の期は4億円の赤字)と、129億円の増益となった。
住宅や高機能プラスチック(素材)、メディカル(新型コロナウイルス検査キット)など全セグメントで増益を確保。セキスイハイムを中心とした住宅セグメントは部材高騰や新型コロナの長期化などの影響を受けるも、市況が回復基調を示したことにより、計画を上回る受注増となった。
またコスト削減効果も相乗的に加わったことで売上高・営業利益ともに増収増益。
2Q以降は住宅事業、リフォーム事業ともに計画値を達成し、まちづくり事業などが収益に貢献する見込みだ。
▼旭化成
8月6日に発表した2021年度第1四半期の決算短信によると、最終利益は464億円と、昨年度実績である136億円から241.7%の伸長を見せた。
売上高、営業利益、経常利益、四半期純利益のすべてにおいて、同社の第1四半期として過去最高実績を達成。
またセグメント別で見た場合、新型コロナの影響を大きく受けた昨年度同期と比較すると「マテリアル(化学・繊維)」を中心とする3セグメントすべてで増収・増益となっている。
住宅事業では、オーストラリアの大手戸建住宅会社「McDonald Jones Homes Pty Ltd」(※)の新規連結子会社化や、北米などの海外事業が好調に推移したことに加え、建築請負部門の収益の計上基準が変更となったことなどを理由に増収・増益を示した。旭化成は売上高・営業利益が順調に推移したことを織り込み、2Q以降は「マテリアル」を中心とした3セグメントすべてで計画値の上方修正を行うとしている。
※オーストラリアのニューサウスウェールズ州にある大手戸建住宅会社。
旭化成は2017年7月に同社の株式を40%取得し資本提携。今年4月に株式持分80%の連結子会社としている。