ウッドショック―対日本輸出が記録的高値 岐路に立つ欧州材

※新建ハウジング記事より抜粋

ウッドショック―対日本輸出が記録的高値 岐路に立つ欧州材

欧州産針葉樹KD製材、構造用集成材の日本向け供給は岐路に立たされている。
新型コロナ禍による世界的なサプライチェーン混乱に加え、ロシアによるウクライナ侵攻が欧州産地に影響し始めてきた。日本向けが出にくくなっている。

北欧の製材工場 UPMキュンメネ

ロシアのウクライナ侵攻による供給面の不安から2022年第2四半期、日本側の買いが増えたこともあり、ユーロ建て日本向け価格は大幅に高騰している。
第3四半期日本向けユーロ建て価格も高原状態が続く見通しだ。
欧州域内の原材料丸太価格上昇、依然として歴史的な高値に張り付いている海上船運賃なども産地高に影響している。

しかしながらユーロ高の進行で一段と輸入コスト高になることから、日本側はKD羽柄材を中心に買い気を鈍らせており、欧州材代替として国産材針葉樹KD羽柄材にシフトする動きが強まっている。
2022年1~4月入荷が集中し、主要港の欧州産KD製材在庫は多めになっており、これも新規の産地交渉を慎重なものとしているようだ。

ロシア依存による影響

北欧を中心に、欧州産地の多くは木材原材料(丸太、半製品)、完製品を含めロシアからの供給に少なからず依存してきた。

またWood Resources Internationalによるとベラルーシ、ロシア、ウクライナは2021年に850万立方メートルの針葉樹を欧州に輸出、これは欧州の木材総需要のほぼ10%に相当すると指摘している。
欧州産地はこの欠落した数量を欧州域内、もしくはロシア以外の木材産地からの輸入で代替させる必要がある。

当面の注目は2022年7月9日で、欧州連合(EU)による制裁措置の終了前に締結された契約に基づく納入の猶予期間が終了する点だ。
制裁は厳格化され、ロシアは欧州市場に木材を輸出できなくなることから一気に木材製品在庫が積み増すと予想される。

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