政府は6日、2022年度のエネルギー白書を閣議決定した。
ロシアのウクライナ侵攻に端を発したエネルギー危機について、世界の液化天然ガス(LNG)の需給が25年ごろにかけて逼迫すると指摘した。「LNG争奪戦」は短期間で終わらないと警鐘を鳴らした。
ロシアは22年2月に侵攻を開始し、欧州連合(EU)や主要7カ国(G7)などが経済制裁をかけた。
欧州でロシア産天然ガスの代替エネルギーとして、他国産のLNGの需要が急激に高まり、世界で市場価格が高騰。
日本を含むアジアにも波及した。
白書は中長期的に欧州の需要が今後も伸びると見通した。欧州は輸入の増加分を主に米国産で補っている。
供給力は建設プロジェクトが順調に進んだとしても足りず、25年ごろにかけて需給逼迫が起こると指摘した。
天然ガスの価格が通常の水準に戻るのは30年以降になる可能性もあると説明した。
現時点で日本は長期契約でLNGを調達しており欧州と比べて価格の上昇幅は小さい。
電気・ガス料金の消費者物価指数も欧州より抑えられている。
一方で「既存のLNG長期契約の更新や新規契約の締結がなされなければ、今後は急激に確保量が減少していく」と分析した。
長期的な視点で資源外交を展開する必要がある。
5月のG7首脳会議(サミット)の首脳宣言では天然ガスを含めた化石燃料全般を段階的に廃止していくことで合意した。
天然ガスは石炭よりも二酸化炭素(CO2)排出量が少なく投資を一部容認した。
白書は2月に閣議決定したグリーントランスフォーメーション(GX)実現に向けた基本方針にも触れた。
再生可能エネルギーの主力電源化や、原子力発電の活用の重要性を強調した。
※経済産業省資源エネルギー庁ページもよろしければご覧ください
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/energyhakusho2023.html