個性的で今年らしいキッチンが勢ぞろい~EuroCucina2024 

①Ar-Tre -Arトレ-

【ELITE】
今年カラーのキッチン。80年代のイメージが漂う

②Binova -ビノーバ-

【AVOLA】
天板は世界で最初に3mX1mの大判のセラミック(シンタードストーン)を創ったラミナム社製。表面の3Dパターン(凹凸)と小口にも柄を再現した最新の技術、LEDラインライトを効果的に使った

③Leight -ライヒト-

【BAHIA】
ブラッシュドアルミニュームのTOPが個性的な存在感を放つ。ランダムなリブ加工の木扉、クラシカルなガスコンロには真鍮の五徳。LEDライト、大型ポケットドア等々、今年らしさが満載のコンテンポラリークラシックデザイン

ル・コルビジェの建築とカラーの哲学「建築的ポリクロミー」を取り入れたカラーシステム【Les Couleurs®Le Corbusier】を発表(2017年・imm)、製品に反映させている。写真はブルー系のカラーレンジで、埋め込み把手、アクセサライズドチャネルやスナックテーブルが今年らしさを出している

④Arrex -アレックス-

アウトドア仕様のシンプルキッチン。クックトップ部は使わない時は蓋つき

トレンドカラーのピーチファズが目を惹く。天然クォーツのTOPをサイドに回す納まり。家具やクッションまで空間全体をカラーコーディネート(写真上・下)

⑤Xera -ゼラ-

【PLATINUM】
スチールを素材に、特化した技術で製作するプロ向けキッチン。AISI304を使用したハードなイメージの仕上げ

アウトドア仕様のカバー付きキッチン(上)。屋外(海洋エリア)にはAISI316を使用
円筒形のアウトドアキッチン、IHコンロ組み込み(下)

⑥Very Simple Kitchen -ベリーシンプルキッチン-

ステンレスのモジュラーキッチンメーカーとしてインダストリアル(工業化)を追求。組み立て・分解が容易なキッチンを提案。写真はスゥエーデンのFORM Us with Loveとコラボしたステンレスに粉体塗装をほどこしたキッチン

⑦L’Ottocento -ロットチェント-

【VIRTUS(アイランド部)】 【FLORAL(バック部)】
老舗の風格が漂うキッチンは、1993年パドヴァで創業という、意外感!モダンなキッチンをヴィンテージ空間に組み込み、調和のとれた美しい空間を演出した

【FLORAL&VIRTUS】
壁面の収納部とやパッサージドアはフローラルシリーズ、ブロンズウォルナット突板、無垢框。
ワークキッチン(左上)右奥のパッサージドアの先にダイニングとワインセラー(下写真)が続く

⑧La Cornue -ラ コルヌ-

【Château Suprême GRAND PALAIS 180】
フランスのハイエンドキッチン。最高級シリーズのリメイク(写真上)はジュエラーと組んで象嵌や浮彫の彫刻などで装飾を施した

⑨Next 125 -ネクスト125-

【THE FIREPLACE】

【NX870】
SchüllerのプレミアムブランドNext 125.「Feel at Home」がキーワード。FIREPLACEではブロンズの鏡面ガラス、NX870では染色木、他にもリサイクルウッドをベースにしたリノリウムなど新素材が登場

⑩Schüller -シェラー-

【MATERA】
サスティナブル素材で作るキッチン、TOP はラミネート(HPMハイプレッシャーメラミン)、扉はハイマット(耐乾燥・耐湿気)、海洋プラスティック素材の 把手

⑪Häcker -ヘッカー-

スモールラグジュアリーをテーマに、家具メーカーとしてスタートしたブランド。100%ドイツ製を前面に打ち出している。
スタンド内で存在感を放つオブジェのようなキッチンは斬新なデザインで人々を招き入れ、集うキッチンとしての役割を果たしている

⑫Molteni & C -モルテーニ& C-

【VVD】
DADAキッチンとして長い間親しまれてきたメーカーだったが、現在はMolteniの傘下になりブランド名もMolteni&Cに統一された。クリエイティブディレクターはヴィンセント・ヴァン・ドゥイセン。写真は、重厚な天然石(レヴァントレッド)を使ったラグジュアリー感漂うキッチン。LEDライトの組み込みにもキッチンや空間をいかに美しく見せるかの仕掛けが隠されている

アウトドアリビングのワンアイテムとしてアウトドアキッチンを製作
TOP:シンタードストーン、本体はスコッチブライトステンレス

まとめ~EURO CUCINA/FTK2026年に向かって~

①来場者データから読み解く

さて、上の表は、来場者レコードを記録した2018年と比較した今年のデータです。本会場に出展するメーカー数の減少が気になるところです。出展のコストや、立地などの条件から本会場を離れて市内のSRのみで展示するというメーカーも徐々に増えてきています。こうした傾向は、フォーリサローネの勢いが加速する中、今後さらに増えていくのではないかと予想されます。

2024年の新たな会場構成の試みがファーストステップ。次回2026年のEuroCucina/FTKには、どんな仕掛けが用意されるでしょうか。2年後、さらに進んだ最先端のデザイン・イノベイティブなテクノロジーを目にすることになるはずです。(*10月9日、来年1月のケルン国際家具見本市(imm)が中止との発表があり、これからの見本市の動向も気になるところです。)

②最先端ミラノから見えてきた7つのキーワード

■サスティナビリティ ■革新:素材 ■スマートソリューション ■伝統:原点回帰 ■自然志向 ■パーソナライズ ■ボーダレス

サスティナブル環境負荷への配慮というキーワードは、これまで以上に全ての活動のベースとなります。

新しい技術による素材の開発が脚光を浴びる時代。バイオマス資源など注目の素材、廃棄物、海洋プラスティック等を利用した再生素材、あるいは全く新たな素材。発想の転換、新技術の導入により、目を見張る新素材の創出が予感されます。

AIの活用(調理補助)、スマートホームの構築(家全体を統合するデバイスを基に省エネ・省力)へのスピードは倍速で加速され、この流れは止まることはありません。

一方で、それでも今生きているルーツ「ローカリズム」が心の源という感覚は消えるどころか高まっています。人々は職人技へのオマージュ、古いもの手仕事などに日常生活の癒し・安心や安堵感を抱いています。自然志向は深く浸透し、アウトドアへの関心もさらに広がっていくでしょう。また一方で、スマート化する新時代にも乗り遅れないように、という両極を求める姿が浮かび上がります。

横並びの時代は去り、多様性の時代。モノもコトもパーソナライズできることは最重点ポイント。ひとり一人のワクワクとドキドキを同時進行させる提案が求められていきます。

IN⇔OUTの境目は希薄になり、キッチンは居住空間と一体化したボーダレスな空間に置かれています。「キッチン=料理する場所」という枠から解き放たれ、家族の暮らしの真ん中に、友人を招き入れ共に楽しむ場所となったキッチン。家庭の中心=HUBとしてのキッチンはその役割もボーダレスです。

インビシブルコンロ、家具のフェースを纏った冷蔵庫、カラーチェンジでムーディな空間を演出する冷蔵庫など、話題の製品も登場した今年。テクノロジーの進化と共にキッチンだけどキッチンはどこ?というキッチンレスキッチンも模索されていくことでしょう。

各所で見つけたリサイクル素材の一例(キッチンではありませんがご参考までに)



コルソコモでの展示 ⓓNiceworkshop
アルミの型枠に使ったアルミニウムを使った家具
Nendo + Paola Lenti ⓓnendo
廃材と生地の切れ端を素材にした家具、バックのモビールも端布で


Nendo ガラス破片を埋め込みデザインにSignature kitchen Suite ⓓPatricia Urquiola
置き家具のように使うモジュラー冷蔵庫

※以上、新建ハウジング記事より抜粋

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