「借りられる額」ではなく「返済できる額」で考える
「いくら借りられるか」から考え始める方もいますが、基本的には「毎月いくらまでなら返済できるか」を基準に考えるのがポイントです。返済できる金額は次のように計算します。
※野村不動産アーバンネット より
年間の総収入から社会保険料や所得税などを差し引いたのが「手取り収入」です。
そこから管理費などの住宅の維持費、住宅費以外の支出や教育費、貯蓄額などを引き、12ヶ月で割ると毎月返済できる金額の目安が出ます。
計算するにあたり、具体的にどんな点に注意すべきか見てみましょう。
住宅費以外の支出は、できるだけ正確に計算する
ここに含まれるものとして、食費・水道光熱費・通信費・保険料・医療費・レジャー費・お小遣いなどがあります。もし家計簿などをつけておらず、支出額が不明な場合は、手取り収入額から直近1年間で増えた貯蓄額を差し引いて調べましょう。
管理費、駐車場代……ランニングコストも計算に入れる
住宅は購入して終わりではありません。
マンションなら管理費や修繕積立金、駐車場代、駐輪場代も支払う必要があるでしょう。
戸建てでも、床暖房などの機能を追加したら思ったより光熱費が上がったというケースもあります。
さらに固定資産税や都市計画税もかかりますから、これらも加味して毎月の返済額を考えます。
返済負担率の目安は25%以下
返済できる金額が計算上で分かっても、実際それが支出割合として多いのか少ないのか……気になるところですよね。
住宅や車などの各ローンは、合計して年収の35%まで借りられると定めている金融機関が多く、例えばフラット35では年収400万円未満は30%まで、400万円以上は35%までとしています。
しかし、余裕をもって返済するなら年収の25%までに抑えるのがよいでしょう。
給与やボーナスの減額、転職、リストラなど、長い人生何があるか分かりません。
住宅ローンの負担はできるだけ軽くしておくと安心です。
結局、総額いくら返済することになる?
長期間の返済となると、低金利でも総返済額は大きくなります。
例えば、借入条件を全期間固定金利2.0%、返済期間30年、ボーナス払いなしとすると、総返済額は下記のようになります。借入額が高額になるほど、総返済額との差額は大きくなります(金額は100の位で四捨五入しています。実際には金融機関によって返済額が若干異なる場合があります)。
※一般社団法人 全国銀行協会 「教えて!くらしと銀行」より筆者が作成
返済期間は定年前までがおすすめ
70歳や75歳で完済する計画だと年金生活になってからも返済を続けなければなりませんし、高齢になるほど病気になるリスクが高くなり、思わぬ出費がかさむ可能性もあります。
繰り上げ返済なども活用して定年前に完済できれば、退職金を老後生活資金に充てることもできるでしょう。
無理のない価格から物件を探す
実際に返済できる金額から考えて、購入したい物件が高額だった場合は、物件の見直しをおすすめします。
より郊外の物件にする、新築ではなく中古も選択肢に入れる、設備機能を最小限にした物件にするなどの方法で、無理なくローンを組める住宅が見つかるかもしれません。
最近でははやりのDIYができるよう、内装の仕上げを途中までにして販売価格を抑えた建築も可能です。
(その場合は、メリットデメリットがございます)
住宅ローンの返済は長期にわたり、もし返済計画を誤ると、お子さまの教育費や老後資金を貯められないなど将来に影響を及ぼす可能性もあります。
もちろんローンを借り換えるなど途中で見直すことも可能ですが、できるだけ無理のない返済プランを立てることが大切です。
※以上、新建ハウジングより
住宅ローンはもとより、生活そのものが無理のない計画を立てている時代だと思います。
語弊があるかもしれませんが、『身の丈に合った生活』を心掛けることが、もっとも重要だと思います。
無理なく健康に、楽しい人生を皆様にはお送りいただきたいと、心より願っております。
望月 洋和