被災家屋、解体作業進まず 二次被害懸念、背景に人手不足

能登半島地震では被災家屋の解体が進まず、多くが放置されたままになっている。
背景には建設業者の不足などがあり、被災者からは余震による二次被害を懸念する声も上がる。
専門家は「被災者に寄り添った工夫が必要だ」と指摘する。

通常、被災した建物の公費解体には時間がかかるが、今回は倒壊などの恐れがある建物に限り、所有者の了承を得た上で自治体が緊急の取り壊しを始めている。
輪島市によると、受付期間内に700件を超える問い合わせが殺到。
珠洲市では10軒以上の解体が決まっている。

輪島市で解体作業中の業者によると、被災して遠方に避難している従業員もおり、人手不足が深刻だという。
安全の確保や家財取り出しにも慎重を要し、「いっぱいいっぱいだ。人件費もかかり、赤字になる」と頭を抱える。

輪島市の自宅が全壊した大工利彦さん(64)は、隣家への二次被害の懸念から取り壊しを決め、2月上旬に申請書を出した。
しかし手続きは進んでおらず、「余震で(状態が)さらにひどくなっている。近所に迷惑をかけたくないので早く壊したい」と嘆いた。

東京都立大の中林一樹名誉教授(災害復興学)は、地元業者の不足に加え、道路状況が悪く大型の重機や県外の業者が入れないことが遅れにつながっていると指摘。
所有者の承諾や立ち会いが難しいケースが多く、「まとめて壊すことができず、作業が難しくなる。
被災者に負担をかけないことを前提に、解体を進めるための仕組みを考えなければいけない」と話す。

その上で「将来のまちづくりを考え、復興計画を立てた上で解体作業を進めることが大事だ」と語った。

能登地震で崩れた家屋の写真。呆然と見つめる家族。
公費解体を申請したものの、手付かずのままの被災家屋=2月28日、石川県輪島市
被災した住宅のがれき撤去作業の様子
被災家屋の公費解体現場=2月28日、石川県輪島市

※以上、新建ハウジング記事より抜粋

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