イギリスで開かれた気候変動対策の国連の会議「COP26」で、温室効果ガスの排出削減対策がとられていない石炭火力発電所の新規建設中止などを盛り込んだ声明に、ヨーロッパ各国など40か国あまりが賛同しました。
日本やアメリカ、中国は含まれておらず、「脱石炭」が議論の焦点になっています。
声明では、主要経済国は可能なかぎり2030年代に、世界全体では可能なかぎり2040年代に、排出削減対策がとられていない石炭火力発電所から移行するため、取り組みを進めるとしています。
また、こうした石炭火力発電所については新規建設を中止するほか、他国での建設に対する政府による直接的な支援をやめるとしています。
声明には40か国あまりが賛同し、フランスやドイツといったヨーロッパ各国のほか、韓国などアジアの国々、それにアフリカや中東の各国が含まれています。
日本政府の交渉団は「資源が乏しく海に囲まれている日本は、多様なエネルギー源をバランスよく活用することが重要だと考え、参加しなかった」と説明しています。
一方、声明を受けて、COP26のシャルマ議長は「この会議は石炭を過去の遺物とするものだ。石炭火力の終わりは目前に迫っている」などとするコメントを発表しました。
イギリスは議長国として「脱石炭」を推し進めたい考えで、COP26の議論の焦点になっています。
国際環境NGO「これほど多くの国が約束 画期的」
成功させるには各国で政府と民間が協力する必要がある」と指摘しています。
一方、日本が声明に賛同しなかったことについては「各国がそれぞれの道を異なるスピードで進むのには、さまざまな理由があると思う」と一定の理解を示したうえで、「声明によってほかの国にも『脱石炭』の道筋ができ、日本も踏み出すチャンスはあると思う。
ただ、今回の声明によってハードルは上がり、中途半端な取り組みでは許されなくなったのは確かだろう」と話していました。
会場周辺では日本の「脱石炭」求めるデモ
国内外の環境NGOでつくるグループが主催したデモには、日本の大学生など10人あまりが参加し、会場の入り口近くで日本の「脱石炭」を求めて声をあげていました。
このあと参加者が一人一人スピーチを行い、新たな石炭火力発電所の建設に向けて日本政府が資金面での支援を検討しているインドネシアから参加したアブドゥル・ゴファルさんは、「石炭火力発電によってインドネシアの温室効果ガスの排出量は非常に多くなっている。
日本は支援を止めてほしい」と訴えました。
また、大学生の酒井功雄さんは「日本では今も古い石炭火力発電所の存続を図る動きがあり、ナンセンスだと思う」とスピーチし、再生可能エネルギーのさらなる拡大などを訴えました。
アブドゥル・ゴファルさんは「インドネシアでは石炭火力で発電した電気が安いのは事実だが、再生可能エネルギーの価格も下がっている。
新たな石炭火力発電所は必要ありません」と話していました。
石炭火力 日本の方針は
国内の発電量は2019年度のデータで、石炭火力によるものが31%あまりを占めています。
また、先月閣議決定されたエネルギー基本計画では、今後、電力の安定供給の確保を前提に比率を引き下げることが基本としつつも、2030年度の時点で発電量の19%を石炭火力でまかなう見通しになっています。
日本政府は、今後発電量が変動する太陽光など再生可能エネルギーの導入が進むと石炭火力にはパックアップの役割も求められることから、2030年度までの廃止は現実的には難しいとしています。
一方、日本が行う途上国などへの石炭火力の輸出についても、厳しい目が注がれています。
日本政府は、ことし6月のG7=主要7か国の合意に基づいて、温室効果ガスの排出削減対策がとられていない新たな石炭火力発電に対する政府による輸出支援は年内で終了するとしています。
その上で既存の石炭火力に対しては、燃やしても二酸化炭素を出さないアンモニアを混ぜることで排出を削減する技術の輸出を進める方針です。
しかし、環境NGOなどは、アンモニアは製造過程で温室効果ガスが排出されるため削減効果は限定的なうえ、石炭火力の存続につながるとして批判しています。
このほか日本政府は3日に行われたCOP26の関連イベントで、東南アジアにある石炭火力の稼働を停止し、クリーンな発電施設に置き換えるといった「脱石炭」の取り組みに、アジア開発銀行を通じて2500万ドル(日本円で27億円あまり)を拠出することを表明しています。
ペットボトルや空き缶は、リサイクルのためにちゃんと洗ってラベルやキャップを外して、回収BOXに分別して捨てるなど、個人でできる事もたくさんあると思います。